「キャプ翼」に始まり、「シュート!」「ホイッスル」「ファンタジスタ」「BE BLUES!」。各漫画雑誌で1つは連載されそれなりの人気ジャンルとなっているサッカー漫画。その中で今一番面白いもの、それが「アオアシ」です。間違いありません。
序盤の主人公が時折スゲープレイを見せるけど、自分のことしか考えてない事とか、その辺りはファンタジスタなどと大体一緒。サッカー漫画の王道的な展開。なのになぜアオアシが面白いのか。
今日はそんなお話。
絶望と希望
サッカー漫画に限らず、最近の漫画の傾向として絶望と希望ってのがある。わかりやすくいうと出来る限り読者を不安にさせて、その状態を出来る限り持続させて、引き上げるってやつ。
アオアシではそれがうまく作られていて、主人公葦人が一歩踏み出すとすぐにまた新たな絶望にぶち当たり、読者は「やっぱりダメだ…」と不安になり、それを主人公の葦人が希望を見せていく。「アオアシ」ではそれがめちゃくちゃ極端。超面白い。
引用元:アオアシ
ちょっと気を抜くとすぐこう。前の試合大活躍したのに、次の試合ではこれ。
主人公がサイドバック??
「アオアシ」で一番衝撃的だったのがこれ。
引用元:アオアシ
サッカー漫画で主人公DFになるってある??しかもこれ、一時的にではなくて、これからDFというお言葉付き。やば。今までDFが主人公なことあった??
ちなみにこの後DFをやらされることに主人公葦人はめちゃくちゃショックを受けてたんだけど、これ読んでる現役DFのサッカープレイヤーどんな気持ちなん。
葦人「絶対DFなんてやらねー!」
現役DF「…」
かわいそう。
流石に主人公がサイドバックとなると読んでる側もめちゃくちゃ不安になる。え?ゴールに向かう漫画ではなくてゴールを守る漫画になるの??それ漫画として成り立つ…?という不安。
言うなれば進撃で主人公が巨人に食われた時の、「え、この先どうなっちゃうの…」感。ワンピースでルフィがクロコダイルにカラカラにされた時の「主人公死んだけど、この漫画どうなるの…?」感。付き合ってた彼氏が急に仕事を辞めて無職になった時の、「想定してた展開と違う…」感。ちなみに僕はこれをやって彼女に号泣されました。うるせえ。
つまり、先の読めないハラハラ感がすごくうまく展開されている。しかもその後もちゃんと面白いのがすごい、
しかももっと凄いのがこの漫画、連載開始2015年時点で主人公をサイドバックにすることが決まってただろうという点。そのころのサイドバックで司令塔やってる選手なんてバイエルンのラームぐらいしかいなかったのでは…?
サッカー漫画のジレンマ
サッカー漫画って、現実のサッカーの流行に則してるのがほとんどなんだけど、どうしても連載当時の流行よりも少し遅れているものが多いと思うんすよね。なぜかっていうと、これはもう連載漫画の宿命でもあると思うんだけど、“連載開始時期の流行”を取り入れがちだから。というのも、多分漫画家さんが連載の前の時点でサッカーを見て「こーゆー漫画を描きたい!」と思って描き始めるからだと思うんですよね。
ただ、現代のサッカーってマジでスピード感が早くて1、2年で流行が変わる。まぁサッカー自体にはそこまで詳しくないのであれなんだけど、聞いた話だと遅くてもワールドカップごとに戦術は一新してるだのなんだの。
「ファンタジスタ」であればセリエA全盛期のファンタジスタ。「BE BLUES!」はバルサのパスサッカーをモチーフに戦術を作ってる。だけど、どちらも連載当時には流行は終わっていた。(BE BLUEは現在も連載中でパスサッカーをやってるけど、すでにパスサッカー全盛期は終わってる。)長く連載しているものであればあるほど、時代遅れの戦術になってしまう。
最先端の戦術の一つ
そのはずなのに、アオアシでやってるサイドバックによるゲームメイクというのは、現在でも普通に行われている戦術。(というか現実のサッカーで本格的にサイドバックによるゲームメイクを取り入れ出したのって2017年頃だと思うんだけど、アオアシの連載開始2015年…)
すげー。実際のプレイ内容も現実で怒っていてもおかしくないぐらい具体的な戦術。
引用元:アオアシ
多分作者ガチのサッカーファン。
さらに絵もめちゃくちゃ迫力がある。
引用元:アオアシ
アオアシ。今一番面白いサッカー漫画です。ぜひ読んでみては。
本日は以上。それでは。