漫画にも色々なジャンルってあるじゃん。冒険ロマン、ラブコメ、ミステリー。色々なジャンルがあって、ジャンルごとにとんでもない数の漫画が存在している。それは映画なんかとも共通していて、映画にあるジャンルは漫画にもあるし、漫画にあるジャンルは映画にもある。ストーリーを綴るものである以上、ジャンルが共通するのはまぁ当たり前のこと。何だけども、一つ、映画にあって漫画にはないジャンルがありました。
それがロードムービー。
簡単にいうと、車やバイクで旅をしながら実在する美しい景色を写しながら主人公が成長するタイプのもの。まぁムービーというだけあって映画専門のジャンルではあるんだけど、漫画にはそう言ったタイプのものってなかったんですよね。
と、思っていたら、ありました。それが「北北西に曇と往け」。
たまたま漫喫に泊まった時に目立つところに置いてあったので読んでみたんですが、これすごいです。凄い。めちゃくちゃ面白い。いや、正直面白いって表現はちょっと違うかもしれない。何だろう。カッコいいんすよね。いちいちめちゃくちゃかっこいい。
たまに映画でも、“ストーリーはよくわからないけど全体を通してかっこいい雰囲気が漂っていて見たくなる映画”あるじゃないですか。見終わった後の感想が「面白い」じゃなくて「カッコいい」になる映画。ロードムービーがまさにそう言ったジャンル。『イージー・ライダー』とか。
邦画だとロードムービーじゃないけど、窪塚洋介主演の映画『GO』とかもその類。あれはストーリーもしっかりしてるけど、それ以上に窪塚洋介の格好良さを眺めるための映画。大好き。
引用元:映画『GO』
『GO』に関してはもう格好良さがストーリーを食っちゃってる。そんなことある?って思うけど、ワンシーンワンシーン見るごとに「あ…窪塚かっこいい…」と思ってしまい話が入ってこない。見終わった感想が「カッコよかった」だけ。
「北北西に曇と往け」はまさにそう言ったタイプの新しい漫画です。
ひたすらにかっこいい絵
引用元:北北西に曇と往け
この漫画で特徴的なのが、その構図やキャラのポージング、シーンの切り取り方、登場人物のスタイルの良さ、もうね、いちいちかっこいい。上記のぶっ倒れた車の上に座って車に話しかけるとか。こんなのどんなブサイクがやっても絵になるでしょ。バナナマンの日村でも倒れた車の上でコーヒー飲んでたら一周回ってかっこいい。
引用元:北北西に曇と往け
「道は この車が全部教えてくれる…」
おいおい。イキリすぎだろ。くっせー!と普通なら思っちゃうんだけど、なんだろう、この独特で繊細で静かな絵柄のせいで妙に納得感がある。
引用元:北北西に曇と往け
じじいの登場シーンもめちゃくちゃかっこいい。なにこのおっさん。神様?
探偵だけどほぼ推理しない
主人公御山慧は“機械の声が聞ける探偵”。この設定から「お!推理ものか!?」と思うんだけど、全く推理しない。探偵としてすることと言ったら動物探しと稀に人探し。
そのそも探偵としての仕事のシーンめちゃくちゃ少ない。
この作者にとってそんな設定はあくまでかっこいい物語を作るための要素の一つと言わんばかりに、全然登場しない。機械の声を聞くのなんて自分の車に文句を言う時ぐらい。それ以外に使ったの今の所1.2回程度じゃね?
アイスランドの描写がすごい
この漫画、舞台がアイスランドで、これがまさにロードムービーと言う所以なんだけど、物語と直接関係ないアイスランドを巡る観光の話が数話に渡って続く。
引用元:北北西に曇と往け
普通の漫画ならシリアスシーンの箸休めとして一話置かれるであろう普通の観光の話が数話に渡って続く。友達が日本から遊びに来たからアイスランドを案内する。ただそれだけの話。何のトラブルも起きずにこの友人は日本に帰っていく。
ただね、それがまたアイスランドの雄大さが伝わってきて、読みながら旅をしてる気分になれる。漫画を読んで旅した気分になれるって初めてなんですけど。
それだけ絵が緻密でリアルさを感じられるからだと思う。
もちろん本筋の話はシリアス
こう言った格好良さと雄大なアイスランドの話に興味の大半を持っていかれるんだけど、本筋の話は弟が殺人者なのか?と言う部分。
その弟も兄と同じく特殊な能力を持っているようで、手を触れずに殺しができるような描写もある。その辺りも今後の展開が気になるところ。
ドキドキハラハラするような漫画が好きな人は合わないかもしれないけども、旅をする気分を味わえるロードムービーが好きな人なんかにはハマる漫画だと思います。僕はめちゃくちゃ好きな漫画でした。「北北西に曇と往け」ぜひ読んでみては。
本日は以上。それでは。