今日はインターネットの影響で、漫画は名作が生まれにくい環境になってしまったのでは?と言う話。
インターネット登場する前ってさ、みんな雑誌買ってたじゃないですか。ジャンプとか、マガジンとか。そんでそこに連載されているものをとりあえずお試しで読んでたじゃないですか。
もちろんその中にはつまらないものもあったけれど、230円払って買ったというもったいなさから、連載されてる漫画全部読む人も多かったと思う。俺も当時は全部読んでた。だって1週間待たなきゃいけないから、読んでないのとりあえず読もうみたいなテンションで。
ところが今、漫画雑誌の売り上げはこのようになっている。
引用元:まんがSEEK
年々下がっていて、どれもこれも全盛期の三分の一以下。せちがれー。サンデーなんかもうすぐ見えなくなりそう。
なぜ漫画雑誌は売れなくなったのか?
ではなぜこうなったのかというと、すげー単純に言うと娯楽の多様化。
昔は漫画、本、テレビ、映画辺りが家で楽しめる主な娯楽だったのに対して、時が経つに連れてその他の娯楽がどんどん増える。特にここ数年は無料で見れるYouTubeやスマホアプリによってお金を払わないと読めない漫画や雑誌が選ばれなくなってしまった。
それもそのはずで、だって、漫画の単行本、一冊今500円?ぐらいする割に楽しめる時間って30分や一時間。ところがYouTubeやスマホアプリなら無料のくせに飽きることなく何時間でも大人も子供も毎日楽しむことができるようになってしまったわけだ。youtubeは子供に大人気みたいだけど、そりゃー親としても子供がどっちに興味持って欲しいかと言ったらスマホアプリを選ぶのは必然とも言える。だって子供にお金かかる趣味とかからない趣味どっちを持っても強いと思ったら無料の方がいいよね。
その後YouTubeやスマホアプリに対抗するために、漫画アプリやウェブサイトなどの出版社を通さない漫画が出てきたことで、漫画の種類が多様になり、読者は一瞬で「面白い」か「つまらない」かを判断するようになり、以前の「連載されているから試しに読んでみる」と言うお試し期間がなくなってしまったわけだ。
これによって、漫画業界は内容がわかりやすくインパクトを強くと、「何が何でも読ませる」と言う構成になってしまった。
詳しく書いていこう。
インターネットによる漫画の変化
一旦昔の話に戻るんですが、昔って、漫画を読むにも選択肢が少なかったんですよね。漫画を読むとなったらどの雑誌を買うかの選択が迫られた。王道ジャンプかそれとも人と違うものを選ぶ天邪鬼からマガジンか、マニアック寄りのサンデーか、それともサブカルガンガンか。
僕の小学校中学校あたりはその四択しかなかった。(コロコロ、ボンボン辺りは小学生低学年ぐらいだから除外)全部買ってるブルジョアキッズもいたけど、ほとんどの家庭ではその中の一つしか選べなかったと思う。
だから出版社的にも一つの雑誌を買わせることができれば、連載漫画のなかに一部面白くないものがあっても、ジャンプに連載されていると言うだけでどの漫画も読者を獲得できた。タイトルが適当でも、もっと言えばつまらなくても読者を獲得できていた。
今、例えばAKBだったり、一部の女優やタレントがよくゴリ押しマーケティングとか言われてるけど、インターネット登場前は自然と雑誌に連載されているだけでゴリ押しされてるのと同じような効果があったわけだ。
出版社も雑誌単位で漫画を作るから多様な連載作品が許されていたし、意図的につまらない漫画も、挑戦として連載されていたように思う。
ところが、インターネットの登場により、人は情報を手にすることができるようになってしまった。わかりやすく言うと、どの漫画がどう言う内容で、世間からどんな評価をされているのかがわかるようになったのだ。
それまでは送られてくるハガキ、つまり出版社内でしか把握されなかったであろう評価が、ネットによってはっきりするようになった。ジャンプ編集部として「面白いもの」を出していけたものが、世間の総意によって「面白いもの」が明確化されるようになった。
これによって、少しずつ漫画の多様性が減ってきた。
漫画村が漫画の価値を変えた
さらに決め手となったのが、冒頭に書いたYouTubeやスマホアプリの台頭。
ここで漫画の価値は大きく変わったように感じる。その理由は上記にも書いた通り、世の中には無料で楽しめるものがある。と言う価値観が形成されたこと。
もちろんそれまでもテレビがあって、無料で楽しめるものはあったのだけど、そこには選択肢の少なさと言う問題があったのに、それをYouTubeやスマホアプリが解決してしまったわけだ。
そうなると当然漫画はさらに選ばれなくなり、人は漫画から離れてしまった。そして登場したのが漫画村と言う違法無料漫画アップロードサイト。これで漫画の表現がマジで変わった。
漫画村は害悪みたいに言われるけど、僕個人としてはメリットもデメリットもあったと思う。具体的に言うと、もともと売れていた漫画は無料で読まれることで販売数は減ったけど、無料だからこそ誰にも読まれていなかった漫画が読まれるようになったこと。
つまり、雑誌が読まれなくなったことにより、誰の目にも触れることができなくなった漫画が無料だからと言う理由で色々な種類が多く読まれるようになった。特に移動中など、音声を出せない空間での需要はアホほどあったと思う。だから暇つぶしのために、今まで読まれていなかった漫画家も読まれるようになり注目されるようになった。漫画村のおかげで有名になった漫画家も多いんじゃないだろうか。
また、それによって一時的に読者を再獲得できた漫画業界が、今読者が求めているものを把握できるようになった。
が、しかし、漫画村はちょうど昨年辺り閉鎖された。で、どうなったか。それまで漫画村で時間を潰していた層が、一斉にYouTubeやスマホアプリに流れた。もちろん漫画村を知るまでは漫画を買っていたけど、漫画村で無料で読めることを知った層も多くがYouTubeやスマホアプリに流れた。
そりゃーそうだ。それまで無料で潰せていた時間を潰すために、新しくお金をかけたいなんて思わない。今まで無料で読めていた漫画を読むためにお金を払いたいなんて思わないでしょう。だからまぁ結果的に漫画を読む層を大幅に減らした漫画村が害悪なことは間違いない。
が、しかし、漫画村の驚異的なPV数によって、どんな漫画が人気なのかを各出版社が知ることができたわけだ。
ネットの影響でが長期的に読める漫画がなくなった
漫画村の影響により、人気漫画のジャンルが変わった。具体的にはエログロ系。奴隷もの。相手を好き勝手にしてやりたい願望を実現したもの。そういった漫画がアホほど増えた。なぜなら漫画村で人気のジャンルだったから。(進撃やハンターのアント編辺りも影響はありそうだけど)
ではなぜそういったものが人気になったのか?それは「パッと見て内容が把握できたから」に尽きると思う。
ネットによって雑誌が売れなくなり、「連載されてるからしばらく読んでみる」と言うお試し期間がなくなったわけだ。
雑誌によるお試し期間がなくなれば、漫画を読みたい層は読みたいものを単体で検索するようになる。そうなれば、どんな内容かわかりずらいものよりも、自分の求めているものかどうかがはっきりとわかるものの方が手に取られやすい。
そうして、今の「インパクトが強くわかりやすい」ものが人気ジャンルとなったわけだ。
逆に言えば今の時代にはどれだけ全体を通したら名作でも、序盤でインパクトを出せなければ一瞬で廃れてしまうのだろうなと。多分今「めぞん一刻」とか「H2」とかの名作が連載されても続かないよね。あれは読めば読むほど面白くなるタイプだもん。
これからも名作が生み出せる環境は残したいよね
まぁ多分今のインパクトを出せないと続かない状況も一部の人にとってはありがたいものなんだろうけど、個人的にはじっくり続けて長期的に見て面白い漫画も出せる環境は残っていてほしいなと思いました。僕の好きな漫画家のきらたかしさん(赤灯えれじいの人)とかまさにそのタイプだもん。
そのために僕はこのブログを作って、面白い漫画を少しでも多くの人に届けられれば良いなーなんて思ったわけです。
今日の記事クッソ真面目じゃんね。ウケる。
本日は以上。それでは。