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漫画を語る読み物マガジン

「百万畳ラビリンス」の面白さを考える

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百万畳ラビリンス」。僕すごく好きなんですけれども、なぜ好きかっていうと、なんかよくわかんないんですよね。この漫画ネーミング的にも、絵的もにマイナー感があるけど、実はマンガ大賞にもランクインしてるし、一部の人には名作なんて扱いもされているみたいなんですが、なんでしょう。面白いけど、何が面白いのかよくわかんないんですよね。

 

だから今日はこの漫画がなぜ面白いのかを考えてみようと思います。

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SFなのにハラハラドキドキが一切ない

漫画って基本的に「ハラハラドキドキ」を売るものじゃないですか。例えばドラゴンボールは、「圧倒的な戦力差のフリーザに、一体どうやって勝つんだ。もしかしたら悟空は勝てないんじゃないか…。」みたいな不安を読者に植えつけてからドカーン!と爽快感を演出する。

 

基本的にほとんどの漫画がそう。

 

君に届け」では、友達の少ない爽子なんかを風早くんは相手にしてくれないんじゃないか。めんどくさいと思っちゃうんじゃないか。でも…爽子に幸せになってほしい…。みたいな不安を煽りながらうまくいく様子を描くもの。

 

漫画って本来そういうものじゃないですか。風早くんと爽子が初めから

付き合っていて、毎週のデートコースをひたすら描くだけでは物語として成立しないんですよね。

 

ところがこの「百万畳ラビリンス」。壮大な設定に対して、キャラの反応がいちいち普通なんですよね。自宅のソファーでポテチ食いながらテレビをみているようなテンションで物語が進む。

 

はっきり言って僕も読みながら眠くなるぐらい。だけど、なんか面白い感覚がある。これはなんなのでしょう??

似たテイストで言えば昨日書いた記事の浅野いにおさんの漫画もだいたいそうなんだけど、浅野いにおさんは適度に血が噴射したりと、緊張感のあるシーンを挟むことと、心に刺さる言葉を置いていくことで、飽きが来ないようにしている。

 

ところがこの「百万畳ラビリンス」は、緊張感が全くないんですよね。

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(100万畳ラビリンスより引用)

 

終始このテンション。君たち、自分以外の人間が誰もいない謎の迷路に迷い込んだんだよ?それわかってる??

 

礼香には恐怖と不安の感情がない

言うなれば昨日まで家でゲームしていた人が、突然無人島に流れ着いたが、「お。無人島に流れ着いた。おし。食料探すか。」というテンション。人間味がない。朝起きたら牢獄に閉じ込められている主人公が「お。牢獄で起きた。命乞いすっか。」というテンションである。

 

この漫画、特に礼香という人物には「不安」という感情が抜け落ちてしまっている。

 

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(100万畳ラビリンスより引用)

 

「バケモンだーーー!!」となるのが普通だと思うんだけど、この礼香という人物に関しては、恐怖が抜け落ちてしまっているから、「げ、パックンじゃん。倒さな。」である。そんなことある??

 

どんな場面でも日常的である

あらすじを簡単に書くと、

ある日、ゲーム好き女子大生礼香とその友達庸子の二人は、どこまでも続く脱出不可能な不思議な木造アパートへ迷い込んでしまう。出口目指し、二人は進み続ける。この建物はなんなのか?二人は出口を見つけられるのか!?

っという不思議系のSF設定にも関わらず、ダンジョン自体は和室をひたすらあっちこっち行くだけ。 そのせいでなぜか日常感が抜けない。そして主人公礼香もその空間に迷い込んだことを楽しんでさえいるようだ。

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(100万畳ラビリンスより引用)

 

こんな風に。異世界に飛んだことに対する不安がゼロ。
ナチュラサイコパス。思考がおかしい。感情移入を一切拒絶する感じ。そしてそのせいで結構やばそうな化け物に襲われかけるシーンもあるのに、「なんかちょろちょろやってたらなんか知らんがうまくいった」という謎の納得感が生まれている。そしてそのせいでハラハラドキドキが一切ない。

 

というか読めば読むほど、この作者そもそも売るつもりあったの?とすら感じる淡々とした物語性。暇つぶしにノートに書いてた落書きをそのまま出版したんじゃ…というような全体的な起伏のなさ。読みながらこちらの感情が上下しない。

読みながら僕の頭にはずっと君が代が流れてる感覚。つまり「無」。「ふーん」というかんじ。だけど、なんか面白い感があるんすよねー。友達に読ませても「面白かった」という。どこが?と聞くと、「うーんなんだろう。わからん」と言われる始末。

 

マジで何が面白いのかわからん

いくつか面白そうな要素を上げてみると

・キャラが可愛い

・主人公の破天荒ぶりが面白い

・ファンタジー+日常感が新しい

 

みたいなのを上げられるんだけど、そんなもんは「手塚治虫の漫画のキャラは全員両目がついてるから面白い」というようなもんで、きょうびキャラが可愛い漫画なんか腐る程あるし、主人公の破天荒ぶりで行ったらもっと変なキャラなのに売れてない漫画はいっぱいあるわけで、じゃあ最後の「ファンタジー+日常感が新しい 」が面白く感じるのかな?

 

とも思ったんだけど、どうですかね?

 

なーんか読んでいてワクワクしないし、次のページではどんなことが起こるんだろう!みたいな期待感も別にないのに、面白く感じる。なんだろ。わからんから読んだ人は何が面白いのかぜひ教えてください。

 

本日は以上。それでは。