Flappy-Magazine

漫画を語る読み物マガジン

「進撃の巨人」があんなに売れた理由は絶望の押し売り

最近はなかなか大ヒット漫画ってものが少なくなっているじゃないですか。

それもそのはずで、もはや漫画は貴族の遊び。悪いこと言わないから趣味にするならYouTubeにしとけ。でも書いた通り、そもそも漫画を買う人が減っているんですよね。昔は暇つぶしとなる娯楽なんて、テレビと本ぐらいしかなかったから、みんな毎週欠かさずジャンプなり漫画雑誌を買っていたのが、スマートフォンの登場で暇つぶしがスマホアプリやYouTubeに奪われてしまっている。

 

そっちでは無料で楽しむことができるんだから、わざわざコンビニに買いに行かないといけない雑誌や、本屋に買いに行かないといけない単行本を選ぶのなんてよっぽどの物好きか時代遅れしかいやしないんですよね。もう完全に人の興味は漫画から離れてしまっている。今、漫画の敵は他の漫画ではなく完全にスマホアプリ。スマホアプリより面白い漫画を描かないと大きく売れることは有り得ない。

 

そんな中でなんとかスマホとの大乱闘に勝利し大ヒットしている漫画が、「ワンピース」「進撃の巨人」「キングダム」ぐらいだろう。

 

今日たまたま漫喫に行って、久しぶりに「進撃の巨人」を読んでみたら、あぁこれは売れるなぁと改めて感じたのでその詳細を書きます。正直進撃はファンの熱がヤバ過ぎるんで(主に腐層)軽はずみな発言をするのもどうかと思いますが、まぁいいかと思って勝手に書きます。誰に聞かれてもいないのに。

 

圧倒的絶望感

絶望。それまで漫画の敵キャラと言うのは、主人公が頑張ってもギリギリ勝てないぐらいの強さで、それを創意工夫や修行でなんとか倒すものだったんですよ。サッカーで行ったら日本対ヨーロッパぐらいの感覚。強敵なんだけど100%無理ではないレベルの相手みたいな。やり方次第で戦えるぐらいの相手。だからなんとなく結構強い相手でも「この主人公ならきっとなんとかするんだろうな」みたいな安心感があった。

 

フリーザの「53万です」が絶望感があったと言っても、それまでの悟空の実績から見れば悟空が負けると言うのはなかなか想像しずらかった。最悪の展開でも悟空が負けることはまぁないよなと言う安心感があった。ワンピースのクロコダイルのシーンも、「負けるかも…」ではなく「どうやって倒すのか?」に読者の焦点が当てられていた。

 

ところがだ。

 

進撃ではガチのプロ集団が一瞬で死ぬ。巨人討伐用に何年もかけて特訓してきた兵士がゴミのように潰されまくる。一巻で主人公すら死ぬ。有り得なさ過ぎる。普通漫画って第一話では敵を爽快に倒して「さあ物語のスタートだ!」と希望から始まるものが多いと思うんだけど、進撃は真逆。一ミリも希望を見せない。完全な「終わり」からのスタート。絶望。人間対蟻。サッカーで言ったら日本対ブラジルとかじゃない。現行ルールのサッカー対手を使っていいサッカーぐらいの感覚。あれ?例えたせいでわかりづらくなってる??

 

「どうやって倒すか?」じゃなくて「戦っちゃダメ」って感覚。読者が敵を倒すことを求めるのではなく逃げることを求める。本能がエレンに「逃げて!」と叫ぶ。序盤とか完全にホラー漫画のそれだもん。しかも作者が新人ということで漫画の常識を無視して「これもしかしてガチで人間全滅バッドエンドあるんじゃね?」と思わせる怖さ。

 

思えば進撃が売れてから「絶望」を売りにする漫画がめちゃくちゃ増えた。敵がめちゃくちゃに強いテラフォーマーズ然り、デスゲーム系然り。ガンガン主要キャラが死ぬ漫画。あれ?それで言うとハンターのキメラアント編もまさにと思ったけどハンターの方が先か。もしかして進撃ってキメラアント編から着想を得たのかな。

 

どうやら絶望というのはかなりの売りになるようですね。

ミスチルも「HERO」のなかで歌ってました。「ダメな映画を盛り上げるために簡単に命が捨てられていく」って。まさに。簡単に命が捨てられる展開というのはみんな大好きなようです。

 

ネタにしやすいちょうどいい絵

進撃はまさに口コミで広まった漫画だと思うんだけど、その理由というのが「ギャップ」だ。作者の諫山創さん。他の漫画家に比べるとお世辞にも絵が上手いとは言えない。いや、今改めて一巻から読むと言うほど下手ではないんだけど、如何せん巨人の絵がなんと言うか真面目に書いてるのかわからないおふざけ感が出ている。

そのおかげで人が話題にしやすいのだ。

 

もし進撃の絵がもう少し綺麗な絵だったら多分今ほど売れてはいないんじゃないかと思う。なぜなら「絵が上手くて面白い」よりも「絵が下手なのに面白い」方が人に伝えた時に期待感が高まるからだ。だって、「絵が下手なのに面白い」方が話が抜群に面白いことが伝わるから。読んでみたくなる。

 

しかも巨人の気持ち悪さがうまく話とマッチして巨人の狂気が表現されてる。もし巨人がカッコ良かったら多分エヴァみたいになってロボット大戦みたいになる気がする。

 

立体機動のカッコ良さ

 立体機動の動き完全にスパイダーマン。あれ抜群にかっこいい。

しかもスパイダーマンみたいに超次元パワーじゃなくて機械だから、もしかして生きてるうちに実現するんじゃ…って期待しちゃう。いや物理法則完全に無視してるんだろうけど期待しちゃう。

 

ピークは2巻まで

正直進撃のピークは2巻までだと思います。エレンが巨人になる前。リヴァイ兵長が出てくる前。腐の方達は逆の意見な気がするけど、エレンが巨人になれることが判明したのと、リヴァイ兵長が出てきたことで一気に人間と巨人が対等に近くなった。

 

つまり「戦える」ようになったことで「絶望」が薄れてしまった。

もちろんそこからも知性を持った巨人が出てきたり、元は人間ということが判明したり漫画として普通に面白いんだけど、その辺りからは序盤の「先が全く想像できない怖さ」というものがなくなってしまった気がする。もちろんそれでも面白いんだけどね。

 

もう序盤の絶望は展開的にないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

 

本日は以上。それでは。