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漫画を語る読み物マガジン

「とんがり帽子のアトリエ」は魔法を制限する漫画

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「とんがり帽子のアトリエ」。めちゃめちゃ面白いやんけ。

 

ファンタジーモノの漫画。特に魔法使いに関係するものって、大抵の場合設定に凝りすぎて、物語が薄くなりがちなんですよね。敵が現れて倒して、また敵が出てきて倒しての繰り返しで、あくまで物語ではなく設定を魅せるタイプ。

 

そのせいで大抵は物語の構成がアンパンマンと一緒。バイキンマンが襲ってきてアンパンマンが殴る。敵が現れて魔法を使って主人公が倒す。

 

世界的な魔法使い映画「ハリーポッター」なんかもまさに設定に凝りすぎて物語が置いてけぼりにされている典型。あれだけいろんなことができる魔法の世界で、いつまでたってもハリーの視力は良くならないし、敵と戦うときはひたすらにビームの打ち合い。あれだけ凄い世界観なのに、いざ戦いになると、お互いがベジータがやられる寸前にやるオラオラオラオラ!!というがむしゃらに打ち合う技みたいな薄さ。

色々なことができすぎるせいで、実際にガチの魔法を使われると簡単に問題を解決できてしまうから、作中ではなぜかしょぼい魔法しか使わない矛盾だらけのストーリー。

 

結局こういうのって、作者が設定作ってるうちに楽しくなって風呂敷を広げまくったせいで畳むことができなくなり、とりあえずなんとなくで進めてしまうパターン。

 

ほとんどのファンタジーで魔法使いはチート

 そう。ほとんどの物語で、魔法使いってマジでチートなんすよ。だって、勇者は剣に盾に防具まで装備しないとまともに敵と戦えないところが、魔法使いは杖の一振りでシールドを作れて攻撃もできる。ゲームだとそこをMPという概念で制限するんだけど、ファンタジーの世界では使い放題になりがち。上級魔法使いになると杖一振りで一生無敵状態になってしまう。マジモンのチート。どのファンタジーでもそこの設定に四苦八苦してそう。

 

それもそのはずで、ファンタジーっておそらく作者が作るときに、「今回はファンタジーを書きたい」からスタートすると思うんですよね。この辺は完全に憶測だけど。

魔法使いを出したいとなると、上記の通り、もうなんでもできるんです。自分が描きたい世界がいくらでも書ける。だから設定がどんどん広がる。だって、こんな世界があったらいいなが、自由に表現できるんだもん。

 

そりゃー誰だって描きたいものを書きたくなる。

 

だから設定先行になって物語が構築しずらくなってしまうんです。ハンターハンターで言ってたけど、力を強めるのは制約と誓約なのに、その制約を取り払ってしまうのがファンタジーという設定なんです。

 

「とんがり帽子のアトリエ」は制約と誓約がめちゃめちゃしっかりしてる

ところが今回紹介する「とんがり帽子のアトリエ」。

この漫画はファンタジーにも関わらず、珍しく「物語」が先行してるんです。

 

物語ありきで設定が作られてる。

「ファンタジーを書きたい」からできた漫画ではなく、「こーゆー物語を書きたい」から作られた設定。物語のためにせっかくの魔法使いという設定を自ら制限していく漫画。

 

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(とんがり帽子のアトリエより引用)

 

魔法を使うには、強い魔法であるほど壮大な魔法陣を描かないといけない。

 

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(とんがり帽子のアトリエより引用)

 

魔法にはめちゃくちゃ厳しい法律が設定されており、好き勝手に使うとすぐに処罰される。これ、作者の心情考えると凄いなと。だって、せっかくの壮大な世界観を、自ら制限してるんだから。

 

このおかげで、魔法を好き勝手に使うことができずに、使える魔法がめちゃめちゃに制限されている。本来であれば、「とんがり帽子のアトリエ」の世界でも魔法は万能なはずなのに、使える場面がめちゃめちゃ限られる。

 

例えば、自分の姿形を自由に変える魔法はあるのに、それを使うことができない。なぜなら、人間そのものに魔法を書けるのは違法だからだ。

 

誰でも魔法使いに慣れるという新しさ

魔法使いってのはほとんどの物語において、特別な才能がある人でなければ使うことができないものだ。ハリーポッターの世界では、魔法使いの子孫でなければ使うことができない。

 

ところが、「とんがり帽子のアトリエ」では、誰でも魔法を使うことができる。重要なのは、魔法陣とそれを書くためのインク。それさえあれば誰でも魔法を使うことができる。

 

そこで設定が生きていて、誰でも使えるからこそ、多くに広めてはいけないという世界になっている。これは新しいなーと。

 

絵、うますぎ

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(とんがり帽子のアトリエより引用)

 

 

なにこの絵。絵画?うますぎ。

 

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(とんがり帽子のアトリエより引用)

 

 

全ページに渡ってこのクオリティ。なに?1ページにどんだけ時間かけてんだよ。

漫画専門学校の生徒にプロはこのぐらい書きますって見せたら全員裸足で逃げていきそう。

 

矛盾のないファンタジー

魔法使い漫画って、どうしても話が進めば進むほど矛盾点がいっぱい見つかってしまって、どうしてもあんまり好きになれなかったんですよね。だって、むちゃくちゃ苦戦してる敵に、「あれ使えば簡単に勝てるじゃん」と気づいちゃうと萎えません?

で、謎の理由で結局使わずにボロボロになって勝つ。お前なんであの技使わないの?みたいな。某〇〇ピースはそういうシーンが多くて読めなくなりました。

 

まだ4巻しか出てないから気軽に読めてめちゃめちゃおすすめ。

ファンタジー苦手な人も読んでみては?

 

本日は以上。それでは。

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